日本特用林産振興会
山菜
山菜ニュース
     
 
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山菜の文化や需要創造で研修会を開催
― 山菜文化産業協会 ―
 11月11日(日)、山菜文化産業協会(飯塚昌男会長)は、栃木県特用林産協会と共催で栃木県那須町において平成19年度山菜文化産業研修会を開催した。当日は、生憎の雨模様であったが午後からは小雨となった。那須塩原駅11時半過ぎ、貸し切りのバスに乗車、会場まではバスで約1時間、小高い山あいの町、那須町に到着。 

 研修会場は、「東山道伊王野ふるさと物産センター」。同センターは田畑の真ん中にあり、周辺に集落が点在しているという典型的な農村風景。ここにお客が来るのかと思ったのが第一印象。ちょうど、同センターの収穫祭が催されていたが、雨模様の天気に係わらず広い駐車場は満杯状態。大いに賑わっていた。何でも、近くに那須高原の別荘地等もあり、平日でも新鮮野菜等を中心にすぐに売り切れが出るとのこと。

 研修第一部の講演は、同センターの会議室で午後1時から開催。最初に東京・女子栄養大学、青柳教授による「山菜と健康との係わりについて」の講演。@山菜の栄養は野菜とほとんど同じ。A山菜は食物繊維を多く含む。B山菜は活性酸素の害を防ぐポリフェノールの宝庫C山菜の中には血圧を下げるにニコチアナミンを多く含む物がある。Dデンプンやしょ糖の分解を阻害し、糖の吸収を遅らせることにより糖尿病を予防する効果E化粧版凝集抑制効果、いわゆる血液さらさら効果等について説明を受けた。

杉浦先生の講義に耳を傾ける研修生
 今は野菜だが春には山菜で活況を呈する
  という道の駅
 次いで「東山道伊王野ふるさと物産センター」の白井正則組合顧問による「道の駅における山菜販売の成功事例について」の講演。
@ふるさと物産センターにおける山菜販売Aお食事どころ「水車館」との連携による山菜販売B那須高原ホテルとの連携による山菜等の販売C宅配便による山菜販売 D山村資源の有効活用を図っての山村振興E山菜料理の普及に努めて販路の拡大F山菜採りマナーの厳守等について説明を受けた。

 この中で、特に山菜の旬の時期は、道の駅の人気商品で待って買っていく人も多く、すぐに売り切れてしまうこと。更に山菜の時期には一月で40万円から50万円も稼ぐ人がいるということにはさすがに驚いた。

銀杏(ぎんなん)の栽培について説明を受ける参加者
 その後、同センターで行われている収穫祭を見学、最後に休耕田を活用し、銀杏栽培地見学して終了した。今回の研修では山菜も活用の仕方で時期的には限られるものの大きな収入源となり、農山村の振興に大きく貢献することを学ぶことができた。
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第3回全国山菜文化産業祭・平成19年度総会を長野県栄村で開催
― 山菜文化産業協会 ―
久保木武行講師
 山菜文化産業協会(飯塚昌男会長)は、第3回全国山菜文化産業祭(長野県栄村と共催、後援:林野庁、長野県)を5月27日(日),28日(月)の二日間、平成19年度総会(27日のみ)を長野県栄村において開催した。
 産業祭の式典及び講演会は栄村総合庁舎「かたくりホール」において午後2時半から開催したが、今回の参加者は、地元長野県はもとより山形、福島、新潟、石川、富山、茨城、群馬、神奈川、東京、宮崎の各県及び大阪府から89名が参加。

 産業祭では、飯塚昌男会長が主催者挨拶、そして地元、栄村の高橋彦芳村長が「全国山菜文化産業祭を山形県小国町、新潟県魚沼市に次いで3番目に栄村で開催して頂き感謝する。当地は、過疎化高齢少子化の典型的な地域で、山菜については、村民が資源の保護の面から、あるいは経営の面から考えて栽培し、栽培も盛んになってきている。この機会に是非皆さんに盛り上げて頂きたい」旨の歓迎の挨拶。次いで林野庁特用林産対策室・石澤尚史室長、長野県議会・宮本衡司議員の祝辞後、講演会に入った。
 
真剣に耳を傾ける参加者
 最初の講演者は、地元、栄村・ギョウジャニンニク研究会会長・保坂良知氏(山菜アドバイザー第1期生)で演題は「栄村に生き、山菜と戯れて76年」。保坂氏は、ギョウジャニンニクの栽培を栄村に広め、栄村からの出荷量は今や5.2トンにまでなったとのこと。
 ギョウジャニンニクで「体も元気、村も元気」の訴えと栄村は、豪雪地帯で雪解け後、地表に飛び出す山菜は、太くて柔らかく「雪萌え山菜」としてブランド化したいとの力強い講演に拍手喝采であった。
 次いで中国料理・酒家「華福寿」(東京都江東区)のオーナーシェフ久保木武行氏の「山菜の調理と商品企画」の講演。久保木武行氏は、東京・銀座にある「銀座アスター」で料理人650人をまとめてきた総料理長。経験に基づいた筋の通った話に会場内は息をのんで耳を傾けていた。なお、久保木氏の講演要旨は次のとおりである。

1 商売を始めて気がついた思い違い
@ 店に来るお客さんの「美味しいもの」の概念は漠然としており、お客さん自身もよく分かっていないことが多い。
A「作る」と言うことと「売る」と言うことは別(売り方の工夫も必要で自分の生き方が売れることにつながる場合がある)
B 商売繁盛については都会にいると麻痺してくる・・売れているということが品質とイコールになるとは限らない。人口が多いと比較的に何でも売れるのだ。
C 売り上げが欲しいため、店を多くしたり、大きくする。しかし、これが本当の繁盛につながるのか疑問。お客様とのコミュニケーションのあるなしが大事。

2 商品企画のポイント
@ どうしたらお客さんに喜んで頂けるか・・お客さんとの信頼関係ができると商売が楽になる。
A 調理技術者は、食材を知らないと興味がわかない。(興味がないと調理する意欲が出ない。)
B 調理技術者は、時代の向かう方向の半歩先を行けるか。
C お客さんが食べてみたいと思う興味を引く料理の研究・・料理人も最初は、技術と体力でやっていけるが年数が経つと勉強する人としない人の差が出てくる。生き残るためにはこびを売ることではなく自分自身を高めることである。

3 プロの調理技術者が求める山菜の今後
@ 林野の自然が育む秀逸な商材(山菜)を生産して欲しい。
A 生産者の豊富な経験と卓越した山菜情報をユーザーに伝えて欲しい。
B 生産する山菜に履歴書を付けて欲しい。
C 生産者のメッセージは、調理技術者が料理に変えてお客さんに伝達する。
D 料理技術者が料理する山菜は、山菜という「物」ではなく、自然に生きる「命」なのですから・・・

  続いて場所を移し、山菜文化産業協会の平成19年度総会を開催。「平成18年度事業報告」「同収支決算」「平成19年度事業計画」「同収支予算」等について審議し、原案どおり承認された。

  交流会で挨拶する高橋村長
 午後6時からは、栄村の山菜料理による交流会、食前酒に栄村産のどぶろく、そして粟餅、たけのこ汁、雪笹やなるこゆりのおひたし、ギョウジャニンニクの蕾やマタタビの芽、藤の花、山ブドウの芽の天ぷら、ゼンマイやウドの煮物と次から次へと出てくる山菜料理に腹を膨らませ、山菜談義に夢を膨らませた。

翌28日は、天気にも恵まれる中で山菜栽培地の見学や山菜狩り。見事なギョウジャニンニク栽培地や山菜栽培に有効活用された林地を見学し、参加者一同満足して帰路に着いた。
ギョウジャニンニクの栽培試験地で
熱心にメモを取る参加者
ギョウジャニンニクの林地栽培
 
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山菜アドバイザー22名が誕生
 
 
  茨城県つくば市「筑波研修センター」で行われていた「平成18年度山菜アドバイザー研修」(1月22日(月)〜1月27日(土)まで実施)(日本特用林産振興会:飯塚昌男会長主催、林野庁補助事業)が終了した。

 研修内容は、22日のオリエンテーションに始まり、「山菜と生活とのかかわり」「山菜採取のルール・マナー(条例等から見て)」「林地を活用した山菜の栽培」「山菜の栽培、販売手続き等(現地研修)」(杉浦孝蔵先生:東京農業大学名誉教授)、「山菜の分類・同定(有毒植物の見分け方)」「山菜の生理・生態」(勝木俊雄先生:森林総合研究所)「山菜採取のルール・マナー(生理・生態面から)」(田内裕之先生:森林総合研究所)「山菜を活かした地域おこし」(菅原聰先生:信州大学名誉教授)「山菜の栽培と優良品種の選抜」(松本則行先生:新潟県森林研究所)「山菜・健康とのかかわり」(青柳康夫先生:女子栄養大学)「山菜アドバイザーとしての心構え」(古川久彦先生:日本特用林産振興会顧問)であった。

 開講式当日、お互い見知らぬ人との出会い、当初、緊張していた顔もそれぞれが山菜について学ぼうとする者の集まり同志。すぐに打ち解けあって毎夜の山菜談義、そして情報交換に明け暮れていた。
 
 今後、研修修了者から提出された「山菜アドバイザー登録申請書」を「山菜アドバイザー研修・登録委員会」で審査し、認定されれば「山菜アドバイザー登録証」が交付され、第1期生としての「山菜アドバイザー」が誕生する。
 
<初の山菜アドバイザー(登録者)>
工藤森生(北海道) 近藤修三(岩手県) 佐藤誠一(岩手県) 渡邊ひさ(福島県)
川原義明(栃木県) 金田健一(栃木県) 杉本弘道(埼玉県) 吉田公一(埼玉県)
荻田毅(神奈川県) 飯澤恒(神奈川県) 森本正信(東京都) 樋口松雄(新潟県)
保坂良知(長野県) 佐伯志津子(富山県) 谷口藤子(石川県) 河崎仁志(石川県)
小泉義廣(福井県) 川端與一郎(福井県) 小寺春樹(岐阜県) 中島正剛(京都府)
阿部康典(広島県) 井上文利(宮崎県)
 
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平成18年度山菜アドバイザー研修が終る
杉浦先生の講義に耳を傾ける研修生
 杉浦先生の講義に耳を傾ける研修生
  茨城県つくば市「筑波研修センター」で行われていた「平成18年度山菜アドバイザー研修」(1月22日(月)〜1月27日(土)まで実施)(日本特用林産振興会:飯塚昌男会長主催、林野庁補助事業)が終了した。

 研修内容は、22日のオリエンテーションに始まり、「山菜と生活とのかかわり」「山菜採取のルール・マナー(条例等から見て)」「林地を活用した山菜の栽培」「山菜の栽培、販売手続き等(現地研修)」(杉浦孝蔵先生:東京農業大学名誉教授)、「山菜の分類・同定(有毒植物の見分け方)」「山菜の生理・生態」(勝木俊雄先生:森林総合研究所)「山菜採取のルール・マナー(生理・生態面から)」(田内裕之先生:森林総合研究所)「山菜を活かした地域おこし」(菅原聰先生:信州大学名誉教授)「山菜の栽培と優良品種の選抜」(松本則行先生:新潟県森林研究所)「山菜・健康とのかかわり」(青柳康夫先生:女子栄養大学)「山菜アドバイザーとしての心構え」(古川久彦先生:日本特用林産振興会顧問)であった。

 開講式当日、お互い見知らぬ人との出会い、当初、緊張していた顔もそれぞれが山菜について学ぼうとする者の集まり同志。すぐに打ち解けあって毎夜の山菜談義、そして情報交換に明け暮れていた。
 
 今後、研修修了者から提出された「山菜アドバイザー登録申請書」を「山菜アドバイザー研修・登録委員会」で審査し、認定されれば「山菜アドバイザー登録証」が交付され、第1期生としての「山菜アドバイザー」が誕生する。

カリキュラム表(PDF)
 
1月のワラビ発生ハウスを見学する研修生
 
研修生代表で御礼の言葉を述べる保坂良知氏(長野)
1月のワラビ発生ハウスを見学する研修生   研修生代表で御礼の言葉を述べる
保坂良知氏(長野)(手前は、飯塚会長)
 
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山菜研修会を長野県佐久市で開催
講義「コシアブラの栽培」に耳を傾ける
 山菜文化産業協会(飯塚昌男会長)は、長野県特用林産振興会との共催により長野県佐久市において「平成18年度山菜文化産業研修会」を開催した。
 11月13日の研修には、52名が参加し、長野県林業総合センターの高木 茂氏による「コシアブラ等山菜の栽培」の現地研修と「里山をきのこ・山菜で宝の山に」と題して講演が行われた。コシアブラの若芽は、近年、山菜として人気が急上昇。各地でこれまで畑などに移植して人工栽培に取り組んでいるが数年すると枯れてしまうなど栽培が難しいとの声がある。
 
講義「コシアブラの栽培」に耳を傾ける
 現地での研修は、早くからコシアブラの栽培に取り組み、各種山菜を森林内で栽培して成果を上げ、全国各地で栽培指導も行っている「星の町うすだ山菜きのこ生産組合」の市川正道氏(山菜文化産業協会員)の栽培地で植栽地の条件、植え方、仕立て方のポイントや収穫時の省力化の工夫まで、幅広い内容の説明がされた。

 
 今回、参加したメンバーは、それぞれの地域で先頭に立って取り組んでいるメンバーだけに非常に熱心な質問や意見交換が行われた。
 林内には、ギョウジャニンニク等山菜類の植え込みのほかクリタケ、マイタケ、ナメコ、シイタケ等きのこの伏せ込みもあり、正に森林を利用した特用林産物の栽培団地であり、続いて行われた「里山をきのこ・山菜で宝の山に」の講演の模範事例でもあった。

 翌14日は、桑畑などの休耕地を利用したクリタケ、ナメコ、ムキタケ等伏せ込み現地を見学。家からも近く、道路のすぐ脇で収穫等の作業ができるので、年輩者も各人のペースに併せてきのこ等を出荷している。山菜との組合わせにより春と秋に収入確保が可能で、過疎化、高齢化する農山村における地域活性化につながる好事例であるなど、非常に興味深い研修会となった。
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第2回全国山菜文化産業祭を新潟県魚沼市で開催
― 山菜文化産業協会 ―

 山菜文化産業協会(飯塚昌男会長)は第2回全国山菜文化産業祭を新潟県魚沼市と共催(後援:林野庁、新潟県)で5月27,28日、新潟県魚沼市において開催した。
 今回の参加者は、新潟県はもとより山形県や福島県から宮崎県まで約50名が参加。第1日目の大会、シンポジュウームは、会場の窓のすぐ向かいの山に残雪が輝き、ぶなの新緑がまぶしい魚沼市大白川「ホテル大自然館」において開催された。

主催者として歓迎の挨拶を述べる星野魚沼市長
主催者として歓迎の挨拶を述べる星野魚沼市長

 開催市であり、主催者でもある星野芳昭魚沼市長(山菜文化産業協会副会長)が歓迎の挨拶。当地の山菜は豪雪の下から瞬間に出るやわらかさが何ともいえない。ふきのとうに始まり、ぜんまい、木の芽(あけびのつる)等、正に旬の時期を迎えているところだ。全国の皆さんが一同に会し、情報交換をやり、山菜の文化について大いに論じ有意義な会にして頂きたい旨の挨拶。

 続いて、飯高悟林野庁林政課長、種村芳正新潟県特用林産振興会長、皆川浩平新潟県議会議員、深沢省三新潟県南魚沼地域振興局長が来賓祝辞。
 次にシンポジウムに入り、新潟県農業総合研究所の牛腸(ごちょう)奈緒子氏が「新潟県内の直売所における山菜販売の現状と課題」と題し @新潟県内の農産物直売箇所A山菜販売直売所の調査結果B 直売所でのお客様アンケートC課題Dマーケティングの視点からの講演。
 次いで地元魚沼市議会議員の浅井守雄氏が「山の恵みとともに生きる」と題し、@山は聖地(熊狩り、昭和58年さんさい共和国の建国)A山の怒り(山菜取り遭難事故における二重遭難事故の発生、地域全体で山を守る活動)B山(地域)は宝(商品開発、どぶろく特区)の講演。
 コーディネーターは石澤林野庁特用林産対策室長が勤め、時間は短かったものの活発な質疑が行われた。

  そして、夜は場所をスポーツセンターに移しての魚沼市の「さんさい共和国第23回建国祭〈山菜ツアー〉」歓迎交流パーティに参加、総勢200名にも及ぶ大パーティである。参加者は、正に旬の山菜料理づくしといわなの塩焼き、どぶろく特区造り立てのどぶろく、いろいろな果実酒に舌鼓を打ちながら本物の味を楽しみ、情報交換を行いながら時間の経つのも忘れるようであった。

山菜文化産業祭の参加者達
 
わらび園(造成中)の視察とわらび狩り
山菜文化産業祭の参加者達   わらび園(造成中)の視察とわらび狩り

 翌28日は、今にも雨が降り出しそうな天気であったが、スキー場跡地に魚沼市が丹精込めて造りつつあるわらび園の視察と採取、そして山菜の天ぷら試食会に参加。旬の味は、いくら食べても飽きない。最後は、見た目も美しい山菜寿司の折り詰めを頂きながら来年の再会を約し、それぞれ帰途についた。

旬の味は、いくら食べても飽きない
 
山菜寿司の折り詰め
旬の味は、いくら食べても飽きない   山菜寿司の折り詰め